乳がんは予防できる?経験者が伝えたい「検診こそ最強の予防」

10月はピンクリボン月間です。
 ピンクのリボンをアイコンにした乳がん検診の推進の案内を見かけることがあるでしょう。
 「ピンクリボン月間」とは、毎年10月に行われる、乳がんの正しい知識を広め、早期発見・早期治療の重要性を伝えるためのキャンペーンのことです。

キャンペーン活動は世界中で行われています。
日本では10月に全国で乳がん検診の受診を推進する活動が行われています。
そのようなSNSやポスターをみて「複雑な気持ちになる」方もいらっしゃるでしょう。

乳がん検診で何か腫瘍が見つかるととても怖い、だから検診を受けたくない、と感じる方もいらっしゃると思います。
乳がん経験者になる前のかつての私もその一人でした。

「乳がん検診を受けるのなら乳がんにならない生活をしたい。」
では「乳がんを予防できる生活とは?」という思考になる方もいらっしゃると思います。

 では、そもそも乳がんは「予防できるものなのでしょうか?」
今回は「乳がんは予防できる?」をテーマにまとめます。

1:乳がんの原因とは何かを調べる

予防をするには原因の明確化が不可欠です。
では乳がんの原因とはそもそも何なのか。
国立がん研究センター(がん情報サービス)*から「乳がんの発生要因(リスク要因)」が公表されています。

乳がん 予防・検診 — 発生要因

乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。
エストロゲンを含む経口避妊薬の使用、閉経後の長期のホルモン補充療法は、乳がんを発生するリスクを高めることが分かっています。

また、体内のエストロゲンに関連する要因として、初経年齢が低い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がないなどが、乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。

そのほか、飲酒、閉経後の肥満、運動不足といった生活習慣や、糖尿病の既往なども乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。

*出典:国立がん研究センターがん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/prevention_screening.html

ここで提示された原因を項目で書き出してみましょう。

・エストロゲンを含む経口避妊薬の使用
・閉経後の長期のホルモン補充療法
・初経年齢が低い
・閉経年齢が高い
・出産経験がない
・初産年齢が高い
・授乳経験がない
・生活習慣の変化
・飲酒
・閉経後の肥満
・運動不足
・糖尿病の既往

項目に整理すると、むしろ「どうすれば予防できるのか分からなくなる」と感じた方も多いのではないでしょうか。
ここで明確になったのは「この項目をどれだけチェックしたら乳がんになるのか」、「どの項目が直接原因になるのかこれではわからない」ということです。

悪性腫瘍が見つかったのはあなたの行動が原因ではない

乳がん経験者である私も宣告を受けた際に自分の生活習慣を改めて見直しました。
しかし、直接的原因がわからない状態だったため、何をどう見直せば効果が出るのかわかりませんでした。

同時に、なぜ自分が乳がんになったのか、何がいけなかったのか、理由のわからなさに戸惑いと悔しさを感じる日々が続きました。
つまり、悪性腫瘍は総合的な要因の結果で起こるため、「これを守れば乳がんを確実に予防できる項目」を選び出すことはできないのです。

健康的な生活を行っていても、食生活に気をつけていても、それでも乳がん検診で悪性腫瘍が発見されるケースというのはあります。
子育て中、働き盛りの女性は本当に忙しい。
だから検診で悪性腫瘍が見つかったら困るし、見つかると怖いと感じてしまう意見も、痛いほどにわかります。 でもちょっと待ってください。
早期発見は、「悪化を防ぐ最初の一歩」になりませんか?

3:早期発見のための検診こそが予防につながる

乳がん経験者で、現在実生活を送っている私は、全ての子育て中の女性や働き盛りの女性にこそ検診を受けてほしいと願っています。
乳がん検診で悪性腫瘍が発見された際には非常に心が乱れると思います。
しかし、ここでデータを振り返ってみましょう。
乳がんは早期発見になればなるほど生存率が上がります。 近年の検査は大きな病院でなくても検診を行っています。
そして、検診の結果で再検査が必要な場合は、より大きな病院での検査を行う連携もできています。
ここで「検査」を行う人が増えれば増えるほどデータが増え、大病院との連携がスムーズになり、より多くの人が早期発見・早期治療を受けることに繋がります。

4:検診において見つかった腫瘍とどう付き合うか

検診で見つかった腫瘍については、早く見つかればその分対策を検討することができます。

国立がん研究センターから乳がんのステージにおける5年生存率*が公表されています。このデータによると5年生存率は、ステージI期で98.9%となっています。

*出典:令和5年3月国立がん研究センター,院内がん登録2014-2015年5年生存率集計

https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/index.html

早期発見になればなるほど治療選択の自由度が上昇します。
多くの対策を立案することができれば、実生活と両立しながら治療を行える環境を整えることが可能になります。

乳がん経験者である私は当時は子育て真っ最中でした。
乳がん検診で早期発見ができた結果、実生活と両立しながら手術・治療を行うことができました。

つまり、乳がん検診による早期発見は、命を守ることに繋がります。
これこそ「予防」ではないでしょうか。

「怖いから受けない」ではなく、「知ることで守る」。
その一歩が、予防の第一歩だと今は感じています。

著者:がん経験者ライター 森迫 紀子

子育て中に乳がんの手術後、家族の都合で東南アジアに移住、海外通院など特別な体験を経て(コロナ禍含む)2022年帰国。現在は文化芸術系コンテンツ制作、コーディネートを中心に通院をしている。 標準治療を相談しながら行えば、治療しながら仕事も生活も介護も実践可能なことを若い人に伝えたい。